― 無理しない恋愛シリーズ 第6弾 ―
はじめに
「優しくされると落ち着かない」「褒められるとムズムズする」「好意を向けられるほど距離を取りたくなる」。
そんな“受け取れなさ”を抱えたまま恋愛を続けると、相手の愛情が届かなくなり、安心が育ちません。
本記事では、なぜ愛情を受け取れないのか、どんな影響が出るのか、そして今日からできる受け取りの練習まで、専業主夫カウンセラーがていねいに解説します。
「受け取れない」とは何か
よくあるサイン
- 褒め言葉をすぐ否定する(「いえいえ、全然です」)
- プレゼントや好意に対して恐縮しすぎる(「悪いから大丈夫」)
- 助けを申し出られても断る(「迷惑かけたくない」)
- 好意を向けられると試したくなる(「本当に好きなの?」と揺さぶる)
- 何かをしてもらった瞬間、返さなきゃと焦る(“請求書”を受け取った感覚)
心の中で起きていること
- 「期待に応えられないかもしれない」という不安
- 「返せないなら最初から受け取らない」方が安全という思い込み
- 過去の経験から学習した“自己防衛”が、現在にも続いている
受け取れないと何が起こるのか
安心が育たない
受け取るとは「相手の好意を自分の内側に入れる」こと。
受け取れないと、相手の優しさが“外側”に留まり、心が温まる体験にならないため、安心が育ちにくくなります。
愛情が“取引化”しやすい
「もらったら返さなきゃ」が強いと、感謝が請求書に変わりやすい。
その結果、好意のやり取りが交換条件にすり替わり、二人とも疲れてしまいます。
自己像が固まる
「自分は与えられた期待に応えられない」「自分は価値がない」という古い自己像が更新されず、
受け取りの場面で毎回ブレーキがかかります。
僕自身の体験
僕にも「受け取るのが苦手だった」時期がありました。
子どもの頃、ちょっとしたことなのに大人に過剰に喜ばれ、照れやムズムズ感が強く残った体験があります。
その積み重ねから、
- 「大したことをしていないのに・・・と卑下する」
- 「返せないなら受け取らない方が安全」
と学習してしまったのです。
その結果、恋愛でも好意や助けを素直に受け取れず、自分を守ることにエネルギーを使っていました。
でも今は違います。
「返さなくても愛されていい」「受け取るだけで相手は嬉しいことがある」と理解できてから、安心が増え、関係が楽になりました。
なぜ私たちは受け取れないのか(仕組みを分解)
1. 返報性のプレッシャー
「もらったら返す」が強く内面化されると、受け取りが借金のように重くなります。
2. 期待回避
過去の失望経験が強いと、「期待させるくらいなら最初から受け取らない」が安全策になります。
(誰の事も失望なんかさせてないのに・・・)
3. 自己像の固定化
「自分は何も返せない」「価値がない」という認知が強いと、好意が自分にふさわしくないと感じてしまう。
4. 親密さへの不安
受け取ると距離が近づく。近さが怖いと、無意識に拒む行動が出ます(冗談で流す、話題を変える、忙しさで回避など)。
具体例(あるある)
褒められたとき
- 相手:「その服、似合ってるね」
- 自分:「いやいや、安物だし」
→ 好意を否定してしまい、相手の与える喜びも奪うことに。
助けられたとき
- 相手:「帰り遅いでしょ、夕飯つくっておくよ」
- 自分:「悪いから本当に大丈夫」
→ 受け取れない態度が続くと、相手は遠慮を学習してしまう。
プレゼントのとき
- 相手:「あなたに似合うと思って」
- 自分:「(次はもっと高いの返さなきゃ)」
→ 感謝が請求書に化け、安心より緊張が増える。
受け取る練習(今日からできる小さな一歩)
ステップ1:言葉だけ受け取る
褒められたら、「ありがとう」だけで止める。
- 例:「似合うね」→「ありがとう、嬉しい」
解説:言い訳や自己否定を付け足さず、まず受け取りの回路を育てる。
ステップ2:行為をそのまま受け取る
手伝い・差し入れ・ギフトをもらったら、返礼の約束をしない。
- 例:「助かった、今日はそのまま受け取らせてね」
解説:返報性のプレッシャーを外し、安心で完結させる。
ステップ3:ミニ“受け取り日記”
1日1つ、「受け取れたこと」をメモ。
- 例:ドアを開けてもらった/ねぎらいの言葉をもらった
解説:受け取れる自分という新しい自己像を、具体的な事実で更新する。
ステップ4:Iメッセージで肯定
- 例:「私、褒められると照れるけど、実はすごく嬉しい」
解説:恥ずかしさごと共有する。相手はどう関われば安心か学べる。
ステップ5:上限を決めた“お願い”
- 例:「夕食、今週は1回だけお願いしてもいい?」
解説:“無限の返礼”ではなく小さな合意を積み重ね、安心を増やす。
受け取りを妨げる思い込みをゆるめる
「返せないと悪い」→「受け取るだけで価値が循環する」
人は与えることそのものが喜び。あなたが受け取るだけで、相手の喜びが完成します。
「期待させたくない」→「できる/できないを後で伝えればいい」
受け取る=無限責任ではありません。“できる・できない”は別途合意すればOK。
「価値がない自分にはふさわしくない」→「事実で自己像を更新する」
日々のミニ受け取りを記録し、“ふさわしい根拠”を自分に積む。
会話スクリプト(そのまま使える例)
褒められたとき
- 「ありがとう、嬉しい。ちょっと照れるけど受け取るね」
手伝いの申し出に
- 「助かる。今日はそのまま受け取らせて。代わりはまた相談しよう」
境界線を添える
- 「嬉しいけど、毎回は負担になるかも。月1回なら安心して受け取れる」
ねぎらいを返す
- 「してくれて本当に助かった。あなたがそうしてくれることに、私は安心する」
受け取りと「取引化」を防ぐコツ
- 感謝で完結:「ありがとう」で止める(“だから〜してね”を付けない)
- 合意で回す:お願いは“交渉”、約束は“合意”、終わったら“完了”
- 週10分の合意ボード:今週できる/難しいをすり合わせる(人でなくタスクを見る)
注意したいサインと対処
サイン
- 相手の好意に強い不快感や恐怖が出る
- 受け取りの場面で過呼吸・強い自己否定が出る
- 急な怒りや涙が止められない
対処
- 深呼吸→水分→短い散歩で神経系を落ち着ける。無理して受け取ろうとしない
- 今日は言葉だけ受け取るに切り替える。無理して受け取ろうとしない
- その悲しみの根源はどんなことですか?僕とお話してあなたの本音を探りましょう
※必要であれば公的相談・医療機関等の専門窓口に相談(本サービスは医療ではありません)
まとめ
愛情を受け取れない背景には、返報性のプレッシャー、期待回避、固定化した自己像、親密さの不安が潜んでいます。
でも、今日からできる小さな練習――「ありがとうで止める」「行為をそのまま受け取る」「受け取り日記」「Iメッセージ」「上限つきのお願い」――で、受け取りの回路は必ず育ちます。
受け取れるほど、安心は増えます。
安心が増えるほど、恋愛はやさしく長く続きます。
お知らせ
安心して話せる「聞き役・共感セッション」 を提供しています。
「受け取る練習」を一緒にやってみたい方は、下記ページからどうぞ。
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本サービスは医療・治療ではありません。危機的状況では公的窓口や医療機関の利用をご検討ください。